2. All that Jazz

ベイビー

夜の街が呼んでるわ
オール・ザット・ジャズ
ひざにルージュを塗って
ストッキングを下げて
オール・ザット・ジャズ
Come on, babe
Why don’t we paint the town?
And all that jazz
I’m gonna rouge my knees
And roll my stockings down
And all that Jazz

車を出して
あたしいい店を知ってるの
冷えたジンと
ホットなピアノ
ひと晩中
お客はドンチャン騒ぎ
オール・ザット・ジャズ
Start the car
I know a whoopee spot
Where the gin is cold
But the piano’s hot
It’s just a noisy hall
Where there’s a nightly brawl
And all that jazz

オール
ザット
ジャズ!
何でもあり
(Skidoo)
And all that jazz
(Hotcha! Whoopee)
And all that jazz

髪をなで付け
靴にはバックル
オール・ザット・ジャズ
サックスが吹き鳴らす
あのブルース
オール・ザット・ジャズ
Slick your hair
And wear your buckle shoes
And all that jazz
I hear that father dip
is gonna blow the blues
And all that jazz

待って ハニー
バニーハグを踊りましょう
アスピリンも買ったわ
あんたが途中でヘタばって
やり直す時のために
そうよ
オール・ザット・ジャズ
Hold on, hon
We’re gonna bunny hug
I bought some aspirin
Down at United Drug
In case you shake apart
And want a brand new start
To do that jazz

お酒はどこ?
早く飲ませて
オール・ザット・ジャズ
ここが
お酒の隠し場所
オール・ザット・ジャズ
Find a flask
We’re playing fast and loose
And all that jazz
Right up there
is where I store the juice
And all that jazz

ベイビー
大空に舞い上がって
すべてがボーッと
霞んじゃう
ここの騒ぎも
別世界のよう
オール・ザット・ジャズ
Come on, babe
We’re gonna brush the sky
I betcha Lucky Lindy
Never flew so high
‘Cause in the stratosphere
How could he lend an ear
To all that jazz?

いくわよ
腰をシェイクして踊ろう
オール・ザット・ジャズ
腰を押し付けるの
ガーターがちぎれるまで
オール・ザット・ジャズ
Oh, you’re gonna see
Your sheba shimmy shake
And all that jazz
Oh, she’s gonna shimmy
Till her garters break
And all that jazz

下着が丸見えになるまで
こんなあたしを見たら
ママはきっと卒倒する
オール・ザット・ジャズ
show her where to park her girdle
Oh, her mother’s blood’d curdle
(if she’d hear her baby’s queer)
For all that jazz

亭主なんかいないわ!
こういう人生大正解!
オール・ザット・ジャズ
大正解!
No, I’m no one’s wife
But, oh, I love my life
And all that jazz
That jazz

 

「paint the town red」で「お祭り騒ぎをする、酔って公衆に迷惑をかける」となっており、アメリカでは最後の「red」は省略されることが多いようです。「why + not」で「なぜ~しないんだ?」で「~しましょう」って意味に使われています。
「ベイビー。さあ、ハメを外して街に繰り出そう。そしてあれも。ひざにはルージュを塗って、ストッキングを下げて、そしてそんななにもかも。」

「whoopee」は「わーい」という叫びや「バカ騒ぎ」の意。英語スラング辞典では「セックス」となってます。「nightly」は「夜ごとの」、「brawl」は「乱痴気バーティー」。
「車を出そう。知ってるのよ、いい店。いかすピアノが聞けて、よく冷えたジンが自慢で、騒がしいところだけど、夜ごと乱痴気パーティーができるわ。そしてそんななにもかも。」

「skidoo」は英英辞書では「leave somewhere quickly」となっており、「さっさと消え失せる」と言えそうで、「さっさと失せな」といった感じでしょうか。「hotcha」は「ホットジャズの、元気でセクシーな」と「すごーい、やった」の意。
「(失せな)そしてあれ。(すごーい!わーお)そしてあれのなんでも。」

「dip」はスラングとしては「大酒飲み、麻薬中毒」の意味があるようです。「青い」という意味の「blue」は「the blues」で、いわゆる「ブルース」となるようです。ジャズで有名なニューヨークのお店で、日本にもある「ブルー・ノート」は「ブルースのノート」で、つまり「ブルース曲」という意味のようです。また最近使い始めたiPod Touchのウィズダム英和・和英辞典では、「blue note=ブルーノート」として「ブルース音階で半音ずつ下げた第3音・第7音」とありました。もう20年近くも前ですが、1度だけプライベートの海外旅行をしたのが、ニューヨークでした。日中は美術館通い、夕方からはミュージカル。ミュージカルがはねたら、ジャズ・ライブ。3日もすれば時差もあってへろへろになりました。お店「ブルー・ノート」の上はお土産屋さんになってて、東京タワーの土産店もびっくりの品揃えでしたね。ありとあらゆるものに「blue note」と書かれて売られてました。「ビレッジ・バンガード」では演奏の合間にお客は入れ替えとなります。列にならんで、ドアが開かれるのを待ってました。いざ開くと、地下につながる階段からぞくぞくと日本人が出てくるではありませんか。なんと7割以上が日本人の客でした。びっくりしました。
「blow」には「即興でジャズを演奏する」という意味もあります。「blow:吹く」ですから、やっぱりサックスなんでしょうね。
「髪をなでつけ、バックルの靴はいて。そしてあれ全部。大酒飲みのおやじさんがブルースを演奏しようとしてるのが聞こえる。そしてそんななにもかも。」

「hon」は「honny」の詰まったものと言えそうです。「bunny hug」は「20世紀初頭に流行った社交ダンス」だそうです。「buy down」って不動産関係の専門語としてはあるのですが、成句としては参考になるものありません。ただ、「bring down」で「値段を下げさせる」意味があります。ちょっと強引ですが、これを使ってみようと思います。
「待ってハニー。バニーハグを踊るのよ。ユナイテッド・ドラッグ店でアスピリンを値切って買ったわ。あんたがガタガタになったって、最初のときのように、あのそれをやりたいときのためにね。」

「flask」は器で「フラスコ」。お酒のビンという意味もあるようです。「juice」はジュースですが、「酒」や「体液」の意味もあります。
「器を捜すのよ。すばやくそして節操なく遊ぶわ。そしてあれ全部。さあここよ。私がジュースをしまってるところ。そしてそんななにもかも。」
なんだかとてもエッチな内容になりそうと思うのは、考え過ぎなんでしょうね。

「brush」には「力ずくで進む」という意味があります。「betcha」は「bet you」で、「~であることに賭ける、であることを請合う」となるようです。「Lucky Lindy」の「Lindy」は、単葉飛行機で大西洋横断に成功したリンドバーグ(Lindbergh)みたいですね。「the stratosphere」は「成層圏」のこと。「lend an ear」は「耳を貸す」で、「耳を傾ける」の意。
「ベイビー。大空に突き進むの。賭けてもいいわ。あのリンドバーグだってこんな高くには来なかったはず。だって、成層圏なんかにいたんじゃ、あのあれ(ジャズ)も聞けなかったんじゃない?」

「sheba」は「シバの女王」で有名なシバのこと。ここでは性的に魅力のある女性のことを示していると思われます。「shimmy」は「シミー」というジャズダンス。「シュミーズ(下着)」の意味もあるようです。シミーは「上半身とシュミーズを振るわせて踊る」ようです。「shake a shimmy」で「シミーを踊る」の意となります。「you’re gonna」は「you are going to」、「she’s gonna」は「she is going to」。
「ほら、あんたの色っぽい娘がシミーを踊るよ。そしてそんななにもかも。あれま、あの娘はガーターがちぎれるまでシミーを踊るよ。そしてそんななにもかも。」

「girdle」は「ガードル」。「curdle」は「(血の)凝結」。「queer」で「変人の」。「be queer for」で「異常なまでの欲求をもつ」という意味になります。「her mother’s blood’d curdle」は「her mother’s blood would curdle」、「if she’d hear her baby’s queer」は「if she would hear her baby is queer」。
「ガードルの止めてるとこまで見せちゃって。ああ、ママの血が固まっちゃう。あの娘があんなにあれ(ジャズ)を欲しがるのを聞いたら。」

「いいえ、あたしは誰の妻でもないわ。でも、ああ、自分の人生が大好き。そしてそんななにもかも。これよ。」